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「Thief / シーフ」 レビュー [PS4] [ゲーム]

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難易度:MASTER(HARD)
プレイ時間:約24時間

前回「Thief / シーフ ファーストインプレッション」

Eidos Montreal開発の「Deus Ex: Human Revolution」(2011年)とArkane Studios開発の「Dishonored」(2011年)を比較材料としてchapter.1の時点での感想を記したがその判断は正しかったように思う。そのステルスアクションゲームに対するゲームデザインのアプローチをして旧態依然の代わり映えのしないものと評したが、メインのストーリーを終えた現時点でもその評価に変わりは無かった。

「Dishonored」と同じく、敵キャラクターの頭上に表示されたアイコンで警戒状態を判別するというシステムをステルスアクションのゲームデザインの根幹としている本作。文字通り記号的な表現に頼るそれらは処理能力の高い次世代機としての観点からすればお世辞にも優れたデザインであるとは言えない。当然マルチプラットフォームタイトルである以上、旧世代機でも表現、処理が可能である事が前提であるためPS4、XBOX ONEだけにチューニングしたステルスゲームのデザインにするわけにはいかない。それでも「MGS:GZ」を見てみると同じマルチタイトルでありながら旧シリーズ作品に依存することなく新しい表現を模索しているのも見て取ることが出来る。それが成功しているかどうかは別問題だが。

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右奥に見えるのが敵キャラクターとそのアイコン。因みに物陰に隠れているこの状態では顔を乗り出しても向こうからは見えないように設定されている。

ただ、本作は「それだけ」で済んだのであれば別に問題は無い。これは全てのステルスアクションゲームに言える事であり、また簡単に解決できるような話でもないがここではあえて問題提起しておこう。それは「敵AIの行動パターンにおけるルーチン化」である。

敵AIの行動パターンは何故ルーチン化しているのか。この問題はその疑問こそが最大の問題点である。まず、ゲームである以上人の手で攻略できるものでなければならない。敵AIの行動パターンの解析、把握、行動。それがステルスアクションにおける基本的な攻略方法である。敵の知覚範囲とプレーヤーが発する物音を念頭に置き、ステージマップにおける最適なルートを見つけ出す。それは敵AIの行動パターンがルーチン化しているからこそ可能なものとなる。敵AIが気まぐれを起こして急に行動パターンを変えたりするようなイレギュラーはプレーヤーにとって予期し得ない「不親切」なものとされてしまうのである。しかし、同時にプレーヤーはこうも思うだろう。もっと人間的な敵AIを相手にプレイしてみたい、と。このジレンマこそが敵AIのルーチン化の問題点である。

しかし、仮に本物の人間と変わらないレベルの高性能な敵AIが開発されたとしてそれはゲームとして成立するのかと言えばまずならないだろう。現状のステルスアクションゲームが成立しているのは敵キャラクターがプレーヤーの存在を「忘れる」事が可能だからなのであって、そこを突き詰めて考えてしまうとステルスアクションというのは成り立たないのである。これは「MGS:GZ」も同様である。

「Thief」の敵AIはあまり褒められたものではない。技術的には三歩進んで物事を忘れるPS2の頃のゲームとそう変わらない。これは高低差のある町を縦横無尽に移動できるプレーヤーに対して敵の行動範囲が限定されている事も関係しているが、敵に発見されてもその行動範囲から逃げてしまえば追ってきたとしても簡単に巻けるのである。本作における敵キャラクターの脅威というのは「迫り来る壁」でしかない。その行動パターンを念頭にピッキングや箪笥を漁っている時にこちらに向かって来る敵に見つかるかどうか。従来のステルスアクションゲームで表現されてきたものと何ら代わり映えのしない、「Thief」というシリーズをリブートして次世代機で開発してまで表現したかったゲームデザインというのはこの程度だったのか。

「Dishonored」の様にロードのない箱庭型のステージでは無くその多くがほぼ一本道と言ってもいいようなステルスアクションとしては首を捻ってしまうステージ構成。序盤で手に入る弓と棍棒以外の武器が無くそれ以外の拡張性の乏しさが招くアクションの幅の狭さ。隠れたいところに隠れられないストレスの溜まるスポットの設定。プレーヤーキャラクターであるギャレットの魅力の無さ。ギャレット本人にあまり関わりが無いため受身の態勢にならざるを得ないメインストーリーのどうでもよさ。

これらの点から、次世代機のステルスアクションゲームを期待してしまうと肩透かしを食らってしまうが幸いグラフィックに関しては素直に評価できるものになっており、特にライティングの表現に関しては次世代機に相応しい仕上がりとなっている。基本的に夜間にしか行動できないのでゲーム中は終始暗闇が続くのだが、街灯、ランプ、松明の炎などによって照らされるステージ背景は日中の鮮明な風景には無い独自の美しさがあり、高解像度のテクスチャに照らされる光源によって時折写実的な美麗さを見せる。フレームレートが高い事も相俟ってHUDを全て消したときの圧倒的なまでの没入感は圧巻の一言。これぞ次世代機のグラフィックである。

本作のステルスアクションとしてのゲームデザインには苦言を呈したが一点だけ褒められる点があった。本作ではプレーヤーが暗闇に潜んでいる時は敵にある程度近づかれても見つからない、逆に明るい場所に出ると瞬間的に見つかるようになっているのだが、敵キャラクターが松明を持って移動していることによって攻略する上での重要なそれら光源がリアルタイムで変動するようになっているのである。この移動する松明にかかる棚や柱などのオブジェクトによって変化する明かりの様は処理能力の高い次世代機でこそ映える、そしてそれがゲーム性にも繋がっているのはステルスアクションの歴史において大きな進歩であるといえるのではないか。

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コメント 2

nanashi

本来の設定どおりであれば今回の出来事は場違いなぐらい相当ミステリアスな人物であるギャレットへの掘り下げの少なさ
(ギャレット自身は怪奇現象どころか魔界の化け物を出し抜いたことすらある)
背景設定の説明のなさ(闇に隠れられる”技術”は、盗賊ならだれでも持ってるものではなく、ギャレットの背景設定に大きくかかわるものであるが、それらの要素が一切出てこない、マスターシーフとなる経歴や義眼になった理由も同様)
Thiefシリーズを全作やらなければ理解できないキャラの相関関係など、今回の出来は海外でも”シーフのタイトルや設定を使うべきであるか疑問というか、残念”で統一されてますね・・・
by nanashi (2014-04-10 07:25) 

smith

>nanashiさん

お話を伺う限りでは今作における超常現象に端を発するメインストーリーというのはシリーズ作にとってはお馴染みともいえる作風なのでしょうね。別に超常現象事態は問題なかったのですが、仰る通りの「ギャレット自身への掘り下げの少なさ」がメインストーリーの他人事感を増してしまっているので、プレーヤーである私にとっても他人事状態でした。

リブートを図るためにタイトルを「Thief」だけにしたのは恐らく原点に立ち返る、またはそれに近いような制作コンセプトがあったと思うのですが新規プレーヤーに対してここまで手がかりが無いというのは驚きました。ゲーム中で「『あの』マスターシーフが・・・」という扱いを受けるのですが全く実感がありませんでしたから。

しかし、こうなってくると俄然過去作への興味が湧いてきますね。評判を聞く限りでも過去作のほうが面白いという話がありますし。
by smith (2014-04-10 20:37) 

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