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『アイカツ!』第118話 藤原みやびの「薄紅デイトリッパー」における3DCGライブ演出。 [アニメCG]

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アイカツに限らず次回予告は基本的に見ない人間なので今回の交換留学の話には心底驚いてしまった。何より服部ユウが1ヶ月もスターライトからいなくなってしまうとの事なので軽く絶望しそうになったのだが、向こうでも元気にやっている姿がスマホではあったが確認できたので良かった。姫桜女学院の制服姿もクソ可愛い。

さて、3期に入ってあかり、スミレ、ひなき、珠璃の4人が揃いてっきりこのメンバーでしばらく続けていくのかと思ったらまさかの新キャラである。京都の姫桜女学院所属の藤原みやび。交換留学という事からおそらく一時的な登場なのだろうがOPのカットが変更されていたので本当に驚いた。そしてまさかのライブステージである。緊張と興奮、衝撃と畏怖。いきなりの新キャラでいきなりのライブステージなので嬉しい反面どんなものが来るのかという緊張感もあり非常に濃密な25分間となった。


第118話「みやびなアイカツ!」ライブパート
藤原みやび / 「薄紅デイトリッパー」
羽衣プリンセスコーデ / 桜色花伝


01.jpg「ロマンスコーデ」として童話をテーマに制作されている3期のプレミアムドレス。みやびの着ているかぐや姫をイメージした「羽衣プリンセスコーデ」は赤、黄緑、山吹の三色を基本に袖口や重ね袴の部分にそれぞれ配置した十二単をコンセプトにしたようなデザインとなっている。ティアラには中央にある円形の平額(ひらびたい)、三日月型の櫛(くし)、左右に伸び装飾のかざりのある釵子(さいし)で作られた十二単とセットになる髪飾り。この髪飾りだが金属的な質感が表現されておりライトの光に反射して輝くようになっている。

シューズにはまさかの「下駄」。
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ダンスの履物としては前衛的だが気にしないでおこう。

かぐや姫のイメージらしくステージの周囲は竹林が覆っている。ステージは朱塗りの擬宝珠高欄(ぎぼしこうらん)のある高舞台なのでおそらく雅楽のイメージだろう。脇に桶胴太鼓や雪洞(ぼんぼり)がおかれステージの形状が八角形で結構高く作ってあるので、祭りのやぐらで踊るアイドルがコンセプトとしてあるのだろう。床に描かれている模様はおそらく雅楽で使用される大鉦鼓(おおしょうこ)のイメージ。オーラを見てみると菊の花やつまみ細工が漂い、床では鞠が跳ねており、何とオーラが物理的な干渉を受けている。楽曲には雅楽の楽器が使われているなど隅から隅まで日本的な要素で構成されている、正に「雅」なライブステージとなっている。

3DCGモデルを見てみると藤原みやびは久しぶりのタレ目顔となっている。前髪を中央で分けたその様にはどこか見覚えがあったのだが、みやびは美月の系譜のモデリングである。ドリアカの風沢そら含めた所謂セクシー系である。成る程みやびは美月を中学生にして今の技術でモデリングした最新アップデート版だと考えるとなかなか面白い。3期の中学性メンバーのモデリングは基本口の位置が下になっているのでみやびの顔のモデリングは同じセクシー路線でも美月や風沢とはまた違う印象を受ける。

103話の時にも言及したが3期のモデルおよびその処理は引き絵でのセルルックとしての自然さが本当に素晴らしく、モーションの自然さも含め作り物としての3DCGっぽさを感じさせない見え方になっている。アイドルアニメに限らず3DCGモデルのキャラクターを使用している作品の大半は引き絵での絵の見せ方を気にしていない、または注力していないので、動いていなくても3DCGっぽい質感が顕わになってしまっている事が多い。いや殆どと言ってもいい。

セルルックの3DCGモデルは基本的にキャラクターを構成する輪郭線が描かれているのでカメラの距離によってその輪郭線の太さを調整しなければならない。この調整は輪郭線のみに限った話ではないが。アイカツの3DCGモデルのライブパートにおけるこの輪郭線の処理の仕方は本当に良く出来ていて、「引き絵でもセルルックらしさを損ねない」事を念頭に制作されているのが良く分かる。103話のひなきのライブパート含め、この「薄紅デイトリッパー」での引き絵のセルルック感は本当に良く出来ている。

「薄紅デイトリッパー」のダンスはおそらく日本舞踊をイメージしている。
アイカツのライブパートの振り付けは西洋のダンスを基本としているのだが、西洋のダンスは自己表現的な側面が非常に強い。ダンスを自己表現の「手段」として自らの内面を文字通り「体現する」もの。そしてその意識は常に外側へと向いているものが多い。対して日本舞踊を中心とする日本の踊り、中でも舞は内面に向かうものや自己を無いもの、殺すものが多い。

これはあくまで印象ではあるが古来より舞や踊りとは宗教における儀式的な側面が強く、踊り手の個性というのは無いものとされてきた。祭りが本来「奉る」ものであるように日本においては踊り、舞は自己の表現などではなく、何がしかに向けて「贈り物」として行われてきた事が多い。そんな中、歌舞伎や能など現代まで受け継がれている日本舞踊を見るとどれも「型」が重視されている。型を習い、型に習い、型にはまる。勿論演者の個性から生まれる面白さや味わいというのも当然あるのだろうが基本となるのは「型」である。

「薄紅デイトリッパー」において、藤原みやびの両手に持った扇子、ダンスのステップにおける摺り足を模した足運び、身体の軸を中心として腕や脚によって弧を描くような振り付け。そして「見得を切る動作」。
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「薄紅デイトリッパー」では兎にも角にも「見得を切る」。

両手に持った扇子を使ってダンスの動きそのものよりも寧ろポーズで魅せる様な振り付けになっている。なのでダンスそのものに派手さはあまり無い。だが動きのある部分と見得を切る部分の対比、静と動によって生まれる緩急が今までに無かった新しいアイカツのライブを表現している。

尺八で始まり三味線で加速するイントロ、それらの音を一気に抜いたAメロ、琴に始まり徐々に音を重ね早まるBメロ、そして予備動作として再び音を抜きそこからベースやシンセの音が重なり派手になるサビ。この緩急の付いた楽曲に合わせて振り付け自体も細かく変化しており、楽曲の曲調に対してリアルタイムで振り付けのニュアンスを変えるという今までになかったレベルの高い演出がされている。

例えばイントロの前半は4拍毎に振り付けがされており、三味線の入る後半では身体全体でリズムをとる2拍毎、再び曲調が落ち着くAメロでは4拍毎になっている等。そして素晴らしいのがAメロ終わりの「♪訪れたかったトコ♪」なのだが、それまでゆったりとしていた曲調にスネアが入り、それに合わせるように足のステップのカットが入り映像のテンポが上がり、バストアップのカットへと移行しセンターを向いて扇子を閉じる。
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この一連の流れは本当に美しくAメロとBメロの転換の役割も果たしており、ダンス、歌、カメラワークそれぞれが非常に高いレベルでまとまっている。またこの扇子を閉じる際に実際に扇子のSEを入れずに曲にある笏拍子の「キンッ!」という音で表現しているのも粋である。こういった演出が各所に見られ、ここでそれらを全てを取り上げるワケにはいかないが、曲調の変化とそれに振り付けがどう合わせているか、振り付け自体が何を意味しているのか、表しているのか、全体の流れがどうなっているのか等を考えながら見てみると色々と発見があるので気になる人は是非やってみて欲しい。

日本舞踊をコンセプトにしていると考えたのには理由があるのだが、「薄紅デイトリッパー」の振り付けには「立ち位置」の概念が見られるのである。ニュートラルと言えば分かりやすいだろうか。基本となる立ち位置、または姿勢を中心として次の動作に入る前に必ず基本姿勢へと戻る。先の「♪訪れたかったトコ♪」もその一つであり、この基本姿勢へ戻る振りは曲の転換部分でよく見られる。そしてこれがダンスの緩急にも寄与しているのである。そのため「薄紅デイトリッパー」には兎に角「戻る動作」が多く、それが特に表れているのがサビの振り付けである。「♪カワイイだけじゃだめですね♪」から始まるサビでは扇子をはためかせながら後ろに下がる動作を何度も行っている。メインとなるサビでこの振り付けという事からも「戻る動作」というものを意識して取り入れているのは明らかだろう。

繰り返すが、前述した「見得を切る動作」やこの「戻る動作」、基本姿勢や立ち位置への意識があるため「薄紅デイトリッパー」のダンスには派手さが無い。しかしそれ故にそこから生まれる静と動の緩急や見得を切る気持ち良さなど今までになかった独自の個性が生まれてもいる。そしてこれは他のアイドルの可愛さを真似しようと自分の個性を見失っていた藤原みやび自身のアイドル性にも通ずるものとも言える。引き算としての舞、自己表現としての側面の薄い日本舞踊を模したダンスによって自分らしさを表現し自分だけの光を掴むというのはなかなか面白い。

スペシャルアピールもよく出来ており、アイカツにおけるスペシャルアピールというのは見得を切る事と同義なので藤原みやびほど相応しいアイドルもいないだろう。
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今までアイカツのライブパートで楽曲、ダンス、演出のどれかが突出している事は何度もあった。だが「薄紅デイトリッパー」はそのどれもが良く、それぞれが意味を持ち、相互に作用し補完しあっているという、総合的な観点においてライブパートとしての完成度が非常に高いのである。これはちょっと凄い。昨日から見始めているがもう何度も何度も観てしまいリピートが止まらない程。正直3期で一番好きだ。交換留学という事はみやびは直ぐにいなくなってしまうだろうが、こんなものを見せられてしまうと正直スターライトにこのまま編入してくれないかと考えてしまう。Aurora Fantasyを愛用する北大路さくらとは異なる純和風としての藤原みやびは非常に貴重な存在なので交換留学と言わずこれからも活躍して欲しい限りである。無論、服部ユウが戻ってくる事が前提だが。


参考資料
十二単の基礎知識 / 民族衣裳文化普及協会
雅楽 / 文化デジタルライブラリー
つまみ細工 / つまみ堂

他の人のアイカツブログ記事紹介(影響受けそうなので後で読む。)
アイカツ! ライブステージムービーの変遷 / 在宅アニメ評論家
『薄紅デイトリッパー』という衝撃 (およびサンプリングミュージックとしての音頭・00年代以降のバンドサウンドについて) / We sell HELL and suffer well

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『アイカツ!』第118話 藤原みやびの「薄紅デイトリッパー」における3DCGライブ演出。
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