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『Go!プリンセスプリキュア』3DCGモデルによるセルルック表現[キュアフローラ編] [アニメCG]

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第5話の放送時点で主要メンバーとなるキュアフローラ、キュアマーメイド、キュアトゥインクルの三人が揃った『Go!プリンセスプリキュア』。第1話を観た時はその完成度の高さ、バランス感覚の良さに思わず三つ指ついて「お美事にございまする」みたいな状態になってしまった。戦闘力53万というのはこういう事なのか。

前作『ハピネスチャージプリキュア』の流れを汲むように本作でも本編中に3DCGモデルによるキャラクターの演出が挿入されるようになっている。モードエレガント変身から攻撃までの一連のバンクカットと「ごきげんよう。」の浄化カット。フローラだけは特別に第1話の変身時に3DCGモデルによるカットが挿入されている。バンクカットという点について言えばその使用方法はハピチャと同じなのだが本作プリプリでは意味合いが少々異なる。

ハピチャでは「バンクカットをフルCGで制作する以上手書き部分と一緒にしては意味がない」という基本スタンスであったため、過度に手書き部分にすり合わせるのではなく3DCGならではの特徴のある映像をあえて演出していた。そのためハピチャのバンクカットは良く言えばCGにしか出来ない特徴的な、悪く言えば浮いてしまっている映像に仕上がっている。

ではプリプリにおけるフルCGバンクカットはハピチャとどう違うのか。
これは観れば分かると思うがかなり手書きに寄せている。3DCGモデルの立体感を極力減らし、手書き部分と色指定を同じにして輪郭線を調整し、2コマ打ちで動かす事によって3DCGモデルに関しては手書き部分との差を無くす。セルルックという名の通り、手書きの様に見える平坦な3DCGモデルを使用してキャラクターに演技をさせるその手法は『ラブライブ』と全く同じである。

フルCGによるバンクカットを別物として扱うのではなくあくまで手書き部分の延長線として扱うというその手法自体に何ら罪は無いが、この場合フルCGバンクカットに対して視聴者は減点的な評価をとらざるをえないという構造的な問題が発生する。CGバンクが如何によく出来ているかではなく、手書き部分に対してどの程度違和感が無いのか。制作側にとっては手書きと3DCGを同列に扱っているつもりでも、この手法をとってしまうと視聴者は無意識の内に手書き部分を「主」、3DCG部分を「従」ととらえてしまうのである。つまりCGは手書きに対して劣っている、と。だからその評価軸は減点的にならざるをえない。これはアニメのセルルック3DCGに対して理解が無い、興味が無い人ほど傾向が強くなる。私は知り合いを通じてそれを実体験として経験し痛感している。

ハピチャのバンクカットの評判が良かったのはそれを手書き部分とは切り離して演出していたからである。プリプリの感想を見るとフルCGのバンクカットについては肯定的な意見もあるが否定的な意見も少なくはない。その原因の一端としては変身シーンという重要なカットにわざわざ3DCGモデルを使用した事があげられるが、まあ確かにこれについてはその通りだとは思う。必殺技で敵を浄化するというプリキュアの中でも重要なカットなので、映像のデキ云々以前に3DCGモデルが使用される事それ自体についてはそれは反発もあるだろう。個人的には映像としてのクオリティが高ければどちらでも構わないというスタンスであるが。

具体的に見てみよう。
先ずは第1話の変身シーンでの俯瞰から回り込んでセンターで手書きに移行するカット。




これはおそらく第1話のみの演出なので今後使われる事はないだろう。
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上が手書き、下がCG。CGカットを拡大して切り出してみると手書きとの区別はつかないが動かしてこそなので静止画での比較は最早意味を為さない。このカットは一見して3DCGである事が分かるが、この360度回り込みの様に立体感がもろに出てしまうカメラワークで手書きと遜色ないものに仕上げるには恐ろしく手間がかかるのでこればかりは仕方が無い。

そしてモードエレガント変身時。
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これはどちらもCG。先の画像の様にセンターを向いている時は問題ないのだが、顔に対して少しでもカメラに角度が付いてしまうとパースの変化などによって顔のパーツのバランスがかなり変わってしまうので途端にCGっぽさが出てしまう。下は静止画だと手書きに見えるが上は静止画でも露骨に3DCGだとわかってしまう。これはあくまで個人的な経験則ではあるが3DCGモデルの手書きに対する違和感の比重は首から上が大きく占めているのでモーションよりも如何に顔のパーツのバランスが手書きと遜色ないかが重要となる。ただ、360度どこからみても手書きと遜色ない3DCGモデルなんてものは先ず無理なのでこれはフレーム単位で手付けで修正していくしかない。

「ドレスが・・・!」で驚くカット。
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これも第1話のみ。3DCGモデルが生の演技をする数少ないカットだが、気になるのは鼻の輪郭線。フローラは他の二人よりも年下なので真横を向くカット以外では基本的に鼻は控えめにかかれているので、この角度でここまで鼻が出ているとかなり違和感が出てしまう。おそらく鼻の輪郭線は角度に応じて自動的に切り替わるのだろうが、このカットの違和感は鼻だけによるものではない。多分口の形状も影響している。
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直後の引き画へのズームアウト。引き画の時は手書きと遜色ないがやはり繋ぎの部分は違和感がある。顔のバランスは変わっていないのにアップの時は目が異様に大きく感じてしまう。
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「舞え!花よ!」の構え。ここでも同じく鼻と口のバランス、形状が気になる。
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「トルビヨン!」のアップ。ここは決めのカットなだけあって良く出来ているが手書きと見まごう様な出来ではない。確かに良く出来ているがいかんせん「綺麗過ぎる」。
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「お覚悟はよろしくて?」の手書き部分との比較。手書き部分は撮影処理如何によって色味が場面によって異なるので一概には言えないのだが、右のCGカットはフィルター等のエフェクトが殆ど無くナチュラルな画になっているが故に発色の良さも相俟って3DCG特有のエッジが効きすぎているので、左の手書きカットのような柔らかさが全く感じられない。輪郭線の色が強いのと太さがほぼ均一なので機械的な綺麗さが目立ってしまっている。
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浄化後の「ごきげんよう!」。ここもやはり鼻の輪郭線。

こうして改めてじっくり見てみると色々発見があるが、結論として思うのはやはりモーションよりも顔の表情やバランスが重要だということか。ただ、これも難しい話で手書き部分はアニメーターの個性によって絵柄が変わってしまうので何を基準にするかで見え方が変わってしまう可能性があるからである。また当該CGカットを担当するアニメーターの個性も当然反映してくるので明確な回答というのは出てこない。これは他作品にも言えることなのだが。

何だか不満点ばかり書き出してしまったので一応訂正しておこう。
大前提としてプリプリの3DCGモデルは良く出来ている。そして個人的な期待値が高かった半面、出てきたモノがその期待を下回ってしまったためにこのような書き方になってしまったので、これを以って「プリプリのCGは駄目だ」なんて事を言うつもりは毛頭無い。そもそも手書きとの融合、併用を目指すこのアプローチは3DCGアニメ史上最も高度な技術が必要とされるので、この言い方は失礼になるだろうがそのアプローチを今まで積極的に行ってこなかったプリキュアシリーズがいきなり出来てしまうというもの変な話だ。決して悪いデキでは無いが手放しで褒められるワケでもない。ただ、光るモノは確実にある。ハピチャ同様まだまだ試行錯誤の段階なのでこれからに期待したいところ。

余談だが昨日になって漸く2話から5話までを観る事ができたのだがもう言う事無しである。EDは輝度が調整されたらしく大分見やすくなっていたので助かった。マーメイドやトゥインクルのCGバンクについてもここで書こうと思ったのだが流石に長すぎるので近日中に別項で。

それとコレを読んでいる人に一つ提案がある。
特に手書きアニメ作品での3DCGモデルのキャラクターによる演出に否定的な人に対してだが、建設的、そして精神衛生上の観点からも3DCGモデルそのものを否定するのはそろそろ終わりにしませんか、という事。「〇〇はクソ。」「〇〇が最高。」という発言をネタじゃなくて本気で言っている人についても個人的にはあまりオススメは出来ない。

青の6号以降製作現場は完全デジタル化され3DCGモデルは当たり前の様に使用されている。『アルペジオ』や『シドニアの騎士』のようなセルルックフルCGのTVアニメ作品も表れ、とうとう『ガンダム』にまでセルルック3DCGモデルのモビルスーツが登場している。かつての手書きとCGの主従関係は完全に消え去り3DCG単体を以って批判するのは最早時代錯誤に等しい。あきらめ、と言ってしまうと印象が悪いが3DCGモデルの導入を止める事は出来ない。ならばそれを否定するよりも現状を受け入れ、3DCGによって制作側が何を表現しようとしているのかを汲み取っていった方が個人的には良いのではないかと思う。何せ私自身以前は3DCGモデルについて中指を立てる事があったからである。

続き3DCGモデルによるセルルック表現 [キュアマーメイド編]

1/5 フレッシュプリキュア! のEDダンスについて
2/5 ハートキャッチプリキュア!のEDダンスについて
3/5 スイートプリキュア♪のEDダンスについて
4/5 スマイルプリキュア! のEDダンスについて
5/5 ドキドキ!プリキュアのEDダンスについて
6/5 ハピネスチャージプリキュア!のEDダンスについて
7/5 補足
Go!プリンセスプリキュアのEDダンスについて

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